浴室リフォームは、浴室のサイズや空間のレイアウト、浴槽の種類、床や壁の造作などで費用が変わります。比較的古い住宅では「在来工法」で造られた浴室が多く、劣化や腐食、汚れが気になりリフォームを考えている方もいるのではないでしょうか。この記事では在来工法の浴室リフォームについて解説します。
在来工法の基礎知識
在来工法の浴室リフォームを行う前に、在来工法の基礎知識を確認することが重要です。また、ユニットバスとの違いや、それぞれのメリットやデメリットも理解し、失敗しない浴室リフォームを行いましょう。
在来工法とは?
在来工法とは、周囲に防水加工を施し、床や壁をモルタルとタイルで仕上げる方法です。
ひと昔前の一戸建てなどでは主流の建築方法になり、浴室のサイズや空間のレイアウト、浴槽の種類、床や壁の造作などを自由に選べる特徴があります。部分的にリフォームすることも可能性なので、費用を抑えたい人にもおすすめです。
しかし、防水性が低く防水下地に亀裂が入ると水漏れや腐食を起こしてしまうので、防水処理の徹底や、定期的にメンテナンスする必要があります。また、断熱性も低く浴室内が冷えやすいため、浴室暖房乾燥機を設置したほうがいいでしょう。
ユニットバスとのちがい
一方、ユニットバスは浴槽、床と天井のつなぎ目が一体になっている浴室です。
あらかじめ工場で浴槽、床、壁、天井などをパーツ毎に製造し、施工現場で組み立てる方法になります。在来工法と比べ、防水性も高く水漏れやカビの発生を抑えてくれるので、戸建てやマンション、ホテルなど用いられています。また、水漏れのリスクが少ないため、2階以上の高さに設置したい場合にピッタリです。
しかし、在来工法より自由度が低く、こだわりをそのまま反映できないというデメリットがあります。ここが大きな違いになっており、デザインに細かいこだわりがない人はユニットバスがおすすめですが、時間や費用がかかっても浴室にこだわりたいという人は在来工法がおすすめです。
【在来工法の浴室リフォーム】費用相場は?
在来工法の浴室リフォームの費用相場は、20~200万円程度です。浴室リフォームは浴槽だけでなく、床や壁、天井なども含まれ、費用は商品や部材のグレードによって変動します。
また、一部のみを交換するか、ユニットバスへの交換、入替を行うかによっても費用は変動するので、どこからリフォームするべきかを明確にしたうえで予算と合わせてお考えください。
1.一部のみを交換(浴槽・タイル壁など)
在来工法はユニットバスと違い、浴槽や壁など一部のみを交換することが可能なため、費用を抑えたい人におすすめです。費用はリフォームする場所によって異なり、浴槽を交換する場合は20万円前後、床や壁をタイルに張替える場合は15万円程度が相場となっています。
また、床や壁は既存の状態がよければ張替える必要がないため、8万円程度で施工が可能なパネルの重ね張りもおすすめです。
1つ1つ自分好みにリフォームすることができますが、こだわればこだわるほど費用がかさむので、リフォームの優先順位をつけるようにしましょう。
2.ユニットバスへの交換、入替
一方、在来工法からユニットバスへ交換、入替を行う場合、全く新しい形式に浴室が生まれ変わります。費用は60~200万円程度となっており、メーカーやグレードによって大きく変動します。
ユニットバスのグレードは「ローグレード」「ミドルグレード」「ハイグレード」と分かれており、デザインや機能性が異なります。
例えば、「ローグレード」のシャワーヘッドや水栓はシンプルなデザインのプラスチック製などが多いですが、「ハイグレード」のシャワーヘッドや水栓は高級感のあるものが多く使いやすいのが特徴です。在来工法のように細かいところまでこだわることはできませんが、ユニットバスにもさまざまなデザインがあり、在来工法より安価なのがメリットです。
また、防水性や断熱性にも優れているので、快適なバスタイムを過ごすことができます。しかし、古い在来工法からユニットバスへ交換する場合、床下や壁の補強工事など、別途工事が必要なことがあるので注意しましょう。
各家庭の浴室状況によって工事の費用は変わるため、複数の業者に見積もりを依頼することをお勧めします。
【在来工法の浴室リフォーム】注意点は?
在来工法の浴室リフォームには、いくつかの注意点があります。知っておかないと、費用がかさんでしまったり、困ってしまったりする場合があるため、しっかり確認しておきましょう。
補修工事が発生するおそれがある
築年数の経過した古い在来工法は湿気が溜まりやすいため、劣化や腐食、シロアリの被害が見つかる可能性があります。その場合、ユニットバスの設置をする前に床下や壁の補修・補強、シロアリ対策を行う必要があります。
劣化や腐食の補修・補強工事の費用は5~10万円程度と言われていますが、内部の劣化具合は解体してみないと分かりません。古い在来工法の場合は、初めから補修・補強費用がかかることを予算に入れておくことが重要です。
また、見積もりのときには費用や詳細の確認も忘れずに行いましょう。
施工期間中はお風呂が使えなくなる
在来工法のリフォーム期間中はお風呂が使えなくなってしまいます。工期の目安は一般的に4日間程度と言われていますが、工事の条件や工程の組み方、業者によって差が生じます。
また、防水処理を施した浴室はしっかり乾かす必要があるため、リフォームが完了しても翌日にならないとお風呂に入れません。施工期間中は、実家や親戚の家、銭湯などをうまく利用しましょう。
”バリアフリー”も視野に入れておく
浴室にはさまざまな危険が潜んでおり、出入口の段差や、濡れて滑りやすい床などで転倒してしまう場合があります。そのため、介護が必要な人や高齢のご家族がいる場合、「バリアフリー化」をおすすめしています。
例えば、濡れると滑りやすい床は、滑りにくい素材の床材に変更するのがおすすめです。また、高齢者でもまたぎやすいよう浴槽の深さを40cm程度に変更したり、浴槽に手すりをつけたりすることも可能です。介護が必要な人は、介護される側だけでなく介護する側の安全を考慮するのもポイントです。
浴室を「バリアフリー化」することで安全かつ快適なバスタイムを過ごせるので、今は必要ないというご家庭も将来のために考えましょう。