手すりの高さをどれくらいにすべきか悩んでいませんか。手すりの高さには基準があり、高さによってリスクが変わります。
また、手すりの高さを決める際は、法律による規制も考慮しなければいけません。
この記事では手すりの高さの基準や高さによるリスク、高さを決める際のポイント、考慮すべき法律などをまとめました。最適な手すりの高さを確認し、あなたやご家族にぴったりの手すりを設置しましょう。
手すりの高さの基準
一般的な高さの基準として、床から75cm~85cmの高さがよいとされています。
手すりは、使う人によってちょうどよい位置が異なります。取り付ける際、高さは法律などでは特に取り決めはありませんが、高さの基準をまとめました。
廊下
廊下の手すりの高さの基準である75〜85cmを基準に、利用者の掴みやすい高さに調整しましょう。
また廊下の手すりは、手を添えて歩けるよう、連続していなければなりません。
転倒しそうなときに手すりをグッと掴んで危険を回避する必要があるので、連続していることに加え、掴みやすいことも大切です。
高さは、利用する人によりますが、高齢者が使うことを想定すると、高すぎると危険です。なぜなら、手すりを掴んだ手に力を加えにくくなるためです。利用者が杖を突いている場合などは、その杖の高さも参考になります。
階段
階段の手すりの高さの基準は、75~85cmの高さです。ただし、背丈が低い人向けにしたいときや肘を付けて利用したいときは、少し低い60~65cmの高さがよいでしょう。階段は落下などの危険が伴いますので、確実に取り付けたい場所です。
どんな年代、どんな状態の人にもフィットするよう二段式の手すりがおすすめです。
また、階段の段差と段差の間に踊り場など水平部分にも手すりを設置すると、スムーズな歩行が可能になりますので、連続して設置しましょう。
浴室
浴室は滑りやすく転倒の危険が多い場所なので、複数の場所に効率よく設置する必要があります。
出入口の縦手すりの高さは、手すりの中心部が床から120cm前後の高さが目安です。浴室側と脱衣側の両側に設置するとより安心です。
浴槽内の手すりの高さは、浴槽内の床から80〜140cmの高さが目安になります。また、洗い場の立ち座り用縦手すりの高さは、手すり下部が床から60cm程度を目安に設置すると良いでしょう。
トイレ
トイレの手すりは、立つ、座ると二つの動作があるので、L型の手すりがお勧めです。L型の縦の部分を便座の先端部より前方20cmから30cmの位置がよいでしょう。20cmより近くなると、掴んで立ち上がったとき、手の位置が後方になり、動作が不自然になるので気を付けましょう。L型の横の部分は床から60cmくらいの高さが一般的です。
玄関・エントランス
床から75cm~85cmの高さを基準にして、利用者の身長や動きを考慮して微調整しましょう。
玄関は、靴を履いたり脱いだり、立ったり座ったりといった動作が多いため、それぞれの動きに合った手すりが必要です。L型とⅠ型をうまく組み合わせて取り付けると使いやすくなります。
手すりを取り付けるときのポイント
利用者によって、ちょうどいい位置が違うため、手すりの高さを特定するのは大変です。手すりを取り付けるときのポイントをまとめました。
身体の動きに合わせる
立っているときと座っているときの姿勢が違うので、利用者がどのような動きをするのかをよく観察する必要があります。
- 手すりのグリップを掴んで歩くのか
- 手すりに肘をのせて歩くのか
上記によっても、手すりの高さは変わってきますので、基本の75cm~85cmの間で微調整しましょう。
また、立ち座りの動作を含む場合は、座った状態で手すりまで届く範囲を確実に考慮しましょう。
手すりの目的に形状を合わせる
目的に合った形状の手すりを取り付けることで、より使いやすくなります。
太さ
手すりは細いと握りやすく、太いと滑らせやすいという性質があります。立ち座りの動作がある玄関やトイレ、浴室などには細い手すりが最適です。
一方で、歩行を補助するために廊下などに取り付ける場合は、太い手すりが向きます。
形状
手すりの形状は、一般的には筒形が多いです。病気で指が曲がらなかったり、力が入らなかったりする場合は、平面タイプにしても良いでしょう。
平面タイプは、肘をしっかりと置けるため、手すりを掴めない人には重宝します。
筒形タイプは、表面に凹凸をつけることでより掴みやすくなります。
手すりの高さが低い、もしくは高い場合のリスク
手すりのちょうどよい高さは、利用者によって違うので調整が必要です。低すぎる、もしくは高すぎる場合のリスクを理解し、利用者に合った位置を見つけましょう。
低い場合
手すりは、手を添えて使う補助器具と捉えている方がいるかもしれません。しかし、JIS規格によると、手すりは防護柵と解釈されています。
したがって、低すぎると体を支えられないため、階段などでは落下の危険性があります。
高い場合
取り付ける位置が高すぎると、手を掛けたときに力を入れられないため支えになりません。利用者の身長や動作などをよく観察する必要があります。
取り付け推奨位置は、床から75cmから85cmの間です。利用者によって微調整しましょう。
手すりを設置する際に高さ以外に気を付けたいポイント
利用者にとって使いやすい高さであることは、非常に重要ですが、高さ以外にも気を付けたいポイントがあります。
用途にあった手すりを選びましょう
利用者がどのような不便さで手すりを利用するのかをよく観察すると、どういった手すりが不便を解消できるのかがわかります。
たとえば、圧力の弱い利用者にとって、表面がツルツルとした手すりは不向きです。
掴みやすいよう凹凸がある形状や滑り止めにゴム素材を巻きつけるなど、高さに加え、形状や太さも合わせて考えることが大切です。
工事は業者に依頼しましょう
手すりは利用者にとっては、命綱ともなります。DIYで取り付けることもできますが、安全面の保証はありません。
手すりの取り付けの経験がある業者に依頼しましょう。
自治体に問い合わせましょう
手すりを取り付けるとなるとコストの面に不安を感じる方もいらっしゃると思います。
たとえば、浴室やトイレ、廊下、階段に手すりの取り付けるといった小規模の住宅改修は、かかった費用の8割から9割が補助される介護保険が適用される場合もあります。
上限20万円と決まっていますが、自己負担金が少なくなるので、近くの自治体に聞いてみましょう。
まとめ
手すりを取り付けることによって、行動範囲が広がったという利用者もおり、介護される側もする側両者の負担が軽減されます。
利用者の状態、目的によって最善の取り付け位置は変わってきますが、利用者の動線や特徴をしっかりと観察して最善の位置に取り付けましょう。
自宅に手すりを取り付けようと検討中の方は、ぜひ弊社にお気軽にお問い合わせくださいませ。
Q&A
Q,どのような工務店でも手すりを取り付けてくれますか?
A,たいていの工務店は対応できますが、介護環境をメインとした工務店に依頼するのがベストです。
Q,工務店の良し悪し見分ける方法はありますか?
A,次の2点が見極めのポイントです。
①顧客の話をしっかりと聞き、選択肢を多く提案できること
②介護保険などの制度や、手すりなどの取り付けの法律を理解していること